八王子市の税理士が解説|法人成りのベストタイミングとは?

個人事業を営んでいると、「そろそろ法人にしたほうがいいのでは」と考えるタイミングが必ず訪れます。売上が伸びてきた、取引先から法人化を勧められた、消費税の負担が気になり始めた——きっかけは人それぞれですが、法人成り(法人化)は一度実行すると後戻りが簡単ではないため、タイミングを見誤ると余計なコストを背負うことにもなりかねません。

この記事では、個人事業主の税務をサポートしてきた税理士の視点から、法人成りを検討すべき具体的なタイミングと、判断の際に見落としがちな注意点を解説します。

目次

法人成りとは

法人成りとは、個人事業主が株式会社や合同会社などの法人を設立し、それまで個人で行っていた事業を法人に引き継ぐことをいいます。単に「会社を作る」だけでなく、税金の計算方法、社会保険の扱い、事業上の信用力までさまざまな面が変わるため、事業の状況に合わせたタイミングの見極めが重要になります。

法人成りを検討すべき3つのタイミング

① 課税所得(利益)が900万円前後に近づいてきたとき

個人事業の所得税は超過累進課税のため、所得が増えるほど税率が上がっていきます。一方、資本金1億円以下の中小法人であれば、年800万円以下の所得部分には軽減税率が適用され、法人住民税・法人事業税などを合算した実効税率はおおむね21〜23%程度に収まります(所得800万円超の部分は33〜34%程度)。

そのため、個人の所得税率が法人の実効税率を上回り始める課税所得900万円前後は、法人成りによる節税メリットが考えられる一つの目安といえます。一方で個人の国民健康保険、国民年金に比べると法人で加入する健康保険、厚生年金は高額なことも多く、個人事業のほうが有利なケースも多いため、「利益がいくら出たら法人化すべきか」は事業ごとに試算して判断する必要があります。

② 売上が1,000万円に超えてきたとき(消費税・インボイスとの関係)

消費税の課税事業者になるかどうかの基準は、基準期間(原則2年前)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで判定されます。個人事業で売上が1,000万円を超えてきた場合、法人成りをすると、新設法人として改めて消費税の免税期間(原則2期)の適用を受けられる可能性があります。

ただし、法人成りをしてもインボイス制度の登録をした場合は、免税事業者にはならない点に注意が必要です。取引先との関係でインボイス登録が必須かどうかも含めて、消費税とインボイスの両面から判断することが欠かせません。

③ 融資や取引先からの信用力を高めたいとき

個人事業よりも法人のほうが社会的信用を得やすく、金融機関からの融資審査や、法人としか取引しない企業との契約において有利に働くことがあります。今後、事業拡大にあわせて借入れを増やしたい、大手企業との取引を広げたいと考えている場合は、利益水準だけでなく、こうした対外的な信用力の観点から法人成りのタイミングを前倒しすることも選択肢になります。

法人成りで増える負担も忘れずに確認する

節税や信用力の面でメリットがある一方、法人化によって新たに発生するコストもあります。

法人は代表者一人であっても社会保険(健康保険・厚生年金)への加入が原則義務となり、会社負担分として年間60万〜90万円程度の負担増になるケースがあります。また、決算・申告業務が複雑になるため、税理士費用も個人事業時代の年15万円~程度から、年50万〜程度に上がることが一般的です。さらに、赤字であっても法人住民税の均等割(年7万円程度)が発生する点も見落とせません。

これらの負担増を踏まえたうえで、節税メリットが上回るかどうかをシミュレーションすることが、後悔しない法人成りの鍵になります。

法人成りする際に知っておきたいこと

各銀行や商工会議所などでは創業支援や資金調達に関する相談窓口、各種補助金・助成金の情報提供を行っており、法人成りのタイミングにあわせて活用できる制度がないか確認しておくと、設立コストや当面の運転資金の負担を抑えられる場合があります。また、決算期は消費税の免税期間や繁忙期との兼ね合いで決める点も重要なポイントです。

まとめ|法人成りのタイミングは早めの試算と相談がカギ

法人成りのベストタイミングは、課税所得の水準、売上と消費税・インボイスの関係、社会保険や税理士費用の負担増、そして事業の成長戦略という複数の要素を総合して判断する必要があります。一般的な目安はあっても、最終的な損得は事業ごとの数字を実際にシミュレーションしてみないと分かりません。

法人成りを検討し始めてから実行までは、決算期の設計や許認可の引き継ぎなどを含めて3〜6ヶ月程度の準備期間を見ておくとスムーズです。「今の利益水準で法人化したらどれくらい得になるのか」「消費税の免税期間をうまく使えるか」など、具体的な数字での判断をご希望の方は、八王子市内で事業を営む方の法人成りを数多くサポートしてきた当事務所まで、お気軽に無料相談をご利用ください。

串田 久志様
税理士・社労士
日野市で生まれ育ち、馴染みのある八王子で事務所を構えました。

【お客さまの目線で当たり前のことを、誠実に積み重ねる】ということを大切に、
経営者さまが安心して事業に取り組めるよう、税務と労務の両面から丁寧にサポートいたします。
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